NPO法人ARDA
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やまとアートシャベル 主役は鑑賞者!

対話で美術鑑賞 2020年11月04日

やまとアートシャベルでは、8期生の募集に向けて、対話型鑑賞の体験会を行っています。

今年3月から小学校での活動をお休みしている<やまとアートシャベル>にとっては、今年度初となる、待ちに待った活動です。
例年通りとはいかない今回だからこそ、改めてご来場者目線になってプログラムを考え直し、その為の自主練習にも取り組んでいます。

1回目となる10月の体験会を無事に終え、先日、2回目の開催に向けたリハーサルを行ってきました。
小さいお子さんのいるお父さんお母さんだったり、仕事をしている人や学生など、バックグラウンドが様々な私たちは、自分の都合に合わせて各活動に参加しています。リハーサルのこの日は、5名というコンパクトな集まりでしたが、内容は人数に比例することなく、十分濃いものになりました。

まずは、体験会プログラムに沿った通し練習です。

いつもは対話を進行する側の私たちですが、練習の時には鑑賞者側になって思い思いに発言を楽しむことができる、楽しく貴重な機会でもあるので、見慣れている作品であってもいつもと違った視点から見て考え、新たな気付きを積極的に発言することを愉しみました。
進行役は、久しぶりに対面で行う緊張感を漂わせつつも、1人作品の前に立ち、対話をナビゲートする姿はとても楽しそう。
鑑賞者の発言に満面の笑みを浮かべながら「うんうん、それで?」と言わんばかりに耳を傾けて聴くその姿勢に、鑑賞者はもっと伝えたくなって、一層深く考える。発言者だけでなく他の人も、考え方を理解しようと、改めて絵を見直す。
みんなで作品を読み解いていこうとする一体感が生み出されていたその場は、当日に向けて対話の準備が整ってきている現れのようでした。

次に、全体の進行や対話内容をしっかり振り返ります。楽しかっただけで終わらせず、課題を洗い出して次に繋げていくことを大切にしています。

プログラム間の繋ぎの言葉掛け、ご来場者が話しやすい雰囲気づくり、鑑賞作品の順番、鑑賞作品を映写させた時の背景色、対話中の進行役の言葉遣いや体の向き加減、マスク越しの声のボリュームや表情の伝わり方など、少しでも気になることや確認しておきたいことを共有させて、あれこれ意見を出し合い、鑑賞者にとって何がベストなのかを丁寧に考えていきました。
特に、昨年の体験会を経て仲間になった7期生にとっては、迎える側となる体験会は初めてのこと。その、初めて大人と鑑賞する7期生の視点から疑問や意見が多く出たことで、今まで気にも掛けなかった細微なことにまで意識を向けることができたことは、とても大きな収穫でした。

対話型鑑賞の場数が多い先輩からは経験上知り得た知識を惜しみなく伝え、これから活躍の場を広げていく7期生からは、場慣れしていないからこその新鮮な意見や気付きを受け取る。
同じ志を持つ仲間だからこそ新旧の壁がなく、常に相互に学び合っていけることが、活動を続けていく力となっているのだと、改めて気付く機会にもなりました。

次回体験会は、11月9日(月)です。
リハーサルを行ったからこそ振り返れた「鑑賞者ファースト」という気持ちを大切に、訪れる方のことを想い作り上げられる場が、豊かで温かいものになるよう、丁寧に仕上げていきたいとおもいます。
対話型鑑賞の楽しさを、1人でも多くの方に味わって頂けますように。(cacao)