NPO法人ARDA
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小学校

小学校を核としたアート・コミュニティ形成事業(大和市・西東京市)

作品を自分の目でみて感じたことや考えたことをみんなで語りあう体験は、子どもたちの中に相手を尊重する気持ちと自分の感覚を大事にする気持ち、そして答えのない問いを考え続け、主体的に物事に取り組む心を育てます。
文化振興課や教育委員会と協働し、鑑賞ファシリテータとして練習を重ねた市民が小学校の図工時間で対話を介した美術鑑賞をおこなう仕組みをつくっています。

大和市「やまとあーとシャベル」とそのコミュニティ

大和市には美術館がありません。子どもの学びには心を開く情操教育が大事であり、そのためには本物の美術体験をさせたいという一人の校長先生の希望と行動力から始まりました。
プロジェクト名である「あーとシャベル」には、「アートについておしゃべり」すること、この作品は一体何を意味するのかと考え、「アート作品の意味を掘り出していくシャベル」という、2つの意味が込められています。そして、鑑賞ファシリテーターは「シャベラ−」という愛称で親しまれています。2011年からほぼ毎年募集をし、研修を受けたシャベラ−は現在8期となり、総勢56名が登録しています(2021年9月末現在)。

「どちらかというと子どもと話すのは苦手と感じていたので不安な気もちがあった。でも続けていくうちに、子どもたちの言葉を聞き、一緒に悩んだりサポートするのが楽しくなり、教室に入る瞬間『今日はどんな子たちとどんな話しができるかな?』とワクワクするようになりました。自分自身が家庭で子供達と接してきた経験を、この活動に行かせているのかも?と肯定的に考えられるようになってきたことも嬉しい変化です。」シャベラ−Iさん

2014年から大和市内の公立小学校19校すべての1学年に、1クラスずつ2コマの対話による鑑賞授業を行ってきました。希望する学校は近郊の美術館(川崎市岡本太郎美術館や町田市国際版画美術館など)を訪問し、本物の作品の前で対話で作品鑑賞をしています。毎年大和市では3,000人近い子ども達が学校で2時間のシャベラ−の授業をうけ、1,000人の子どもは美術館体験をしています(2016-2018年の平均)。

 

学校授業と美術館訪問

VTSはアメリカの子ども達だから、作品についても話せるのではないか?とよく質問を受けます。ところが、アイスブレイクから始まる段階を踏んだプログラム用意し、どんなことを話しても大丈夫だという安全安心な場を作ることができると、日本の子ども達も自由に発想を広げて発言しあいます。そして、お互いの意見に耳を傾けながら、自分の意見を深めてゆき、作品の本質を突く意見に驚かされることもよく起こります。よく練られた授業プランと安全安心な環境、そして子どもの発言によく耳を傾けて、問い掛け、言葉を編集するファシリテーターがいることで、活発で鋭い対話が生まれるのです。

 

希望する学校は、校内授業後に近郊の美術館へ訪問します(2020-21年はコロナで中止)。 美術館との調整もARDAが行います。美術館では、実物の作品を前にグループで対話をする時間と1人で作品に向き合う時間を設定しています。これらの一連の流れをとおして、答えのないアート作品と向き合うことの面白さや自由さ、そして自分なりの作品鑑賞の方法を獲得します。

 

子ども達の声

  • 「『3つの顔』というえは、たろうさん(*岡本太郎)のしんろが描かれていて、たろうさんは3つのしんろでまよい、3つの顔どれにするかとなやんでかいたと思います。えとの会話がたのしかったです」5年生
  • 「かんしょうなどがにがてでしたが、手をあげて自分の意見をいったら、なんでもわかりやすくかいせつしてくれたので、楽しくかんしょうをできるようになりました。また、他のじゅぎょうでも楽しく手をあげれるようになりました。(中略) とくにかんしょうをするとき、色づかいや、えんぴつ、筆の使い方を気にするようになりました。」5年生
  • 「わたしはあの日、他人に少し自分のことを言えたし、心を開くことができました。私はいつも流される子です。自分の意見より相手という心が大きく、あまり自分を出せないのですが、(中略)いつもより大きく自分をだせた気がします。私は大きくなれた気がします。」4年生

先生の声
アーツ×ダイアログを体験した子どもについて先生に聞きました。

  • 「鑑賞後に算数の考え方の比較をした際に、共通点をみつけることがすぐにできていた。一般化して物事を捉える力がついたように感じた」3年生担任
  • 「どの子も意欲的に自分の意見を言いたくなっていたことがすごいと思いました。」4年生担任
  • 「いつも手を挙げない子が何度も挙手して発言していて、ふだんはあんなに手は挙がらない。いつもシャイな子が意見を言えていたのもミラクル!(中略)教師としても学ぶところがたくさんあった。」3年生担任
  • 「カードゲームを行っていた際は、子ども同士でアドバイスをしあうなど、普段の授業では見られない様子を見ることができました。支援級の児童が発表できるまで待ったり、同じグループの児童が助け合ったり、普段よりさらに協力し合う姿が見られた。」5年生担任
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鑑賞コミュニケーターの研修

コミュニケーターは教えるのではなく、子どもたちの言葉の聴き役です。子どもの関心に寄り添って聴き、どのように思考したのかを考え、その言葉を整理していくことで、子どもたちの発想は広がり、思考は深まります。教育理論や認知発達理論をベースにした考え方を学びながら、体験的、実践的な研修となっています。

最初の3ヶ月は月2回の基礎研修、その後は月1回の実践研修と自主練習、学校現場のサポーターを経て、1年弱の時間をかけて鑑賞コミュニケーターとして独り立ちしていきます。「目からウロコ!楽しくて、日常生活でもためになる」と好評です。そして、なによりも活動を通して、建設的に意見を聴き合う関係ができあがり、コミュニケーター同士が互いを尊重し学びあうコミュニティがうまれています。他の地域の活動では得られない仲間と、楽しみになっているという声もあります。

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鑑賞コミュニケーターの声

  • 「これまで人の話を聞いているようで聞いていなかったことに気付いた。大切なのは、自分がどうこうではなく、目の前にいる人が何を感じ、考えたかなのだとわかった。いちばん顕著なのは、子どもへの対応が変わったこと。子どもを認め、褒めてあげられるようなったからか、引っ込み思案だったのが積極的になった。自分自身も積極的になり、未知なことに挑戦する勇気が出てきた。人に認められることにより人を信じられるようになる大きな変化があった。」Gさん
  • 「アートについて本を読んだり、勉強しようという意欲や、活動の準備に自分の時間を有益に使おうという意識が出てきた。アートシャベルの活動を通して様々な年代の人と出会えることが楽しい。」Iさん
  • 「日常生活において、自分の感じ方に変化がありました。以前は、自分と違う意見を持つ人に対して警戒心を持ったりしていましたが、意見が人それぞれ違うということが理解できたことで、意見は意見として切り離して考えることができるようになりました。自分の意見にも自信を持っていいと思えるようになりました。」Mさん
  • 「苦手と思っていることが多いけれど、意外とみんな私のことを良く見ていてくれて、それを知ることで自信が湧いてきて、心の健康に良い気がします。人間力が上がりそうです。」Sさん

>>大和市での活動報告一覧

 

 

西東京市「アートみーる」

「アートみーる」はアートを「みる」という意味と「meal(ミール=食事)」という意味を掛け合わせ、「アートをよく見ることで、心の栄養を蓄えよう」という願いを込めてつけられました。2011年度から大和市ではじまったこの事業は、市民が文化振興の主役となって活躍し、すべての子ども達に文化芸術体験を届けることができると、2013年から西東京市でもスタートしました。2016年には市内18の全公立小学校で授業実施を達成しています(児童のべ1861名、教員のべ189名が参加)。学校だけでなく地域活動も活発で、ひばりヶ丘団地で開催されている地域交流イベントなどに参画し、様々な年齢の市民同士の交流に一役買っています。2020年度に「アートみーる」は任意団体として独立し、市が設定している活動だけではなく、市内外からの相談や依頼にも応えていこうとしています。

>>西東京市との協働の詳細

>>西東京市での活動報告一覧

 

杉並区 土曜授業支援 「アートわっか」

「対話で美術鑑賞」のプログラムを活かして、2014年より区民コミュニケーターを募集し、小学校での土曜授業の支援をおこなっています。カードタイプの美術作品画像を使い、美術鑑賞の基本である「よくみること」や「自由に発想する」授業をおこないます。 創設当初は杉並区を拠点としていたARDAでは高齢者施設・児童館・小学校と、助成金を集めながら区民の方々と一緒に自主事業を実施しています。

 

土曜授業とは?

杉並区教育ビジョン2012『共に学び、共に支え、共に作る、杉並の教育』の実現を目指して、地域の人が学校の授業を支援する土曜授業が開始されました。学校・家庭・地域が連携し、役割分担することで、豊かな教育環境を提供すると考えられています。 >> 杉並区教育ビジョン2012(PDF)

>>杉並区での活動報告一覧

実施したプログラムの記録