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震災復興支援・こころをつなぐアートプロジェクト (2011) vol.3

アートワークショップ 2011年09月10日

■9/8(木)12:30-16:00 七ヶ浜町第一スポーツ広場仮設住宅 集会所

「げいじゅつ大サーカス!」
アーティスト:今井紀彰(いまいのりあき/写真家・美術家)

助成:アモーレパシフィック
協力:NPO法人 アクアゆめクラブ

6月にも訪れた第一スポーツ広場仮設住宅の集会所。
ここは子ども向けの支援が少ないということで、集会室管理のNPOアクアゆめクラブからの要請で活動することになりました。私たちのプログラムは子ども向けではあったのですが、「げいじゅつ大サーカス」というタイトルを見て、本当のサーカスが来るのかとお年寄りの方々が集まってくださいました。今井さんがプログラムの説明をすると、最初は騙されたという顔をしていた方も「まあちょっとやってみるか」と、テーブルに集まってきてくださいました。

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ライトボックスの上で水の中にカラーインクを落とし、広がっていく様を眺める「色ラボ」では、「きれいだねー」と言いながら、しみじみした時間がゆっくりと流れました。

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6月にもお会いした98歳のおじいちゃんは漁師さん。元気に場を盛り上げてくださる方です。座りながらお話していると実は漁師さんだということが判明。そして、「30歳まで三回も戦地いってね~。満州は-35度で寒かったね。凍傷になる人もたくさんいてね。鼻の下が呼吸で凍っちゃうんだよ。」「色々経験してきたけどねぇ、おばさんを今年7月に亡くしてね。それが一番辛かった」という言葉には、地震と津波を乗り越えたあとにやってきた悲しみを思うと胸が張り裂けそうでした。

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イメージの中でなんでも実現するスイッチをつくる「なんでもスイッチ」。「美味しい魚が食べられるスイッチ」を作った女性は「これまでは生きてた魚食べてたんだよ-。美味しいんだから。もうしばらくは食べられないね」と。「ここでの生活は長くなるからね。仮設のみんなが仲良くなれるようにね。」と、スイッチを作ってくれたおじいさんも。皆さんの以前の豊かな浜の暮らしを懐かしむ気持ちと、前向きに乗り越えていこうという気持ちが感じられました。

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2時を過ぎると赤ちゃんや未就学児をつれたお母さんが、3時前から学校から帰ってきた子ども達やそのお母さんも参加してくれました。大好きな「○○ちゃんにさわれるスイッチ」をつくってくれた5歳の男の子。色を真っ黒になるまで混ぜていったり、白いバケツではじめたりと小学生の女の子たち。お母さんも色ラボでは「うわ、きれい!癒される~。」と、片付けが終わるまでずっと楽しんでくれました。(三ツ木)

助成:アモーレ・パシフィック

アーティスト:今井紀彰 (いまいのりあき/写真家・美術家)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・加藤直子)
協力:NPO法人 アクアゆめクラブ

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■9/9(金) 9:30-11:30 南相馬市立上真野幼稚園

「げいじゅつ大サーカス!」
講師:今井紀彰(いまいのりあき/写真家・美術家)

9:30-10:30 4歳児16名 保育士1名 10:30-11:30 5歳児28名 保育士2名

「からだであそぼう!」
講師:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)

9:30-10:30 5歳児28名 保育士2名 10:30-11:30 4歳児16名 保育士1名

参加人数:計94名(のべ)げいじゅつ大サーカス計47名、からだであそぼう計47名)

助成:アモーレ・パシフィック
協力:福島県立博物館

外で遊ぶことができない上真野幼稚園では、室内でも思いっきり身体を動かして表現する身体のワークショップ「からだであそぼう!」と、室内でも想像力を使って心で遊ぶ3つの造形アートワークショップ「げいじゅつ大サーカス」を4歳児と5歳児のクラスごとで1時間ずつ交代で行いました。

「からだであそぼう!」

普段はホールで遊んでいるという子ども達。保育士さんのお話では「みんながのびのび走り回れるような状態ではない」とのことでした。そんな時だからこそと、楽しくからだを動かせる新井英夫さんのワークショップ「からだであそぼう!」を行いました。
まずは5歳児さんから。「あらいさ~ん!!!」と子どもたちの元気な声で、登場したのはピンク色の布のチューブをまとったチューブ人間。一見ユーモラスな参加者に笑いだす子ども達。けれど得体のしれない動きをする正体不明の存在に、だんだんと後ずさりして、近づいてくると「キャー!」と逃げ回りました。新井さんがチューブから顔を出しても、あいさつの握手を求めても逃げ回る子までいました。

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輪になってお互いをやさしくマッサージした後、くねくねブラブラした動きの途中でピタッと止まったり、手をつないで輪になりくぐりあったり、音に合わせてちょっとずつ雪だるまがとけるような動きをしたり。少しずつ複雑になってくる活動にも、子どもたちの集中は途切れません。新聞紙を使った活動では、最後に細かくちぎった小さな切れ端をたくさん集めて「花火」に。からだいっぱいに伸ばし幾度も「花火」を打ち上げました。

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次は4歳児さん。チューブ人間が登場すると、はじめはきょとんとした様子。ところが、ふとした瞬間にスイッチが入ったようで、泣きだす子が続出しました。けれど新井さんがチューブから顔をのぞかせると「なーんだ」といったふうに、今度はころっと笑顔になっていました。

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本日2つ目のワークショップのためか、はじめは「つかれちゃった~」という声も聞かれましたが、活動にのってくると、そんな声もすぐどこかへ。最後は「楽しかった!汗かいちゃった!」と元気に答えてくれました。楽器の音を一人ずつ順に出す時も、それぞれの子が自分の番までじっと待ち、最後まで友だちの鳴らす音をよく聴いて集中していました。最後は、布のチューブのトンネルをくぐってお別れです。長いチューブに幾人もの子どもたちが入ると、もこもこと動く何とも不思議な生物のようになっていました。このチューブは日常の保育でも使ってもらおうと、プレゼントさせて頂きました。今後ど楽しまれるのか、それもとても気になるところです。

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4,5歳児さんとも、楽しみながらみっちりとからだを動かした1時間でした。くねくねしたり、奇妙なポーズでストップしたり、やさしく触れ合ったり、普段あまり使わないところがたくさん刺激され、泣いたり笑ったり、こころもからだも動き回りました。「子ども達もよく眠れるのでは」と保育士さん。ご参加いただいた保育士さんも楽しんで活動に加わってくださり、とてもパワフルで和やかな活動になりました。(近田明奈)

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「げいじゅつ大サーカス!」

上真野保育園との橋渡しをしてくださった福島県立博物館の金澤学芸員、大阪大学から調査に来ていた臨床哲学の本間さん、同学院生辻さん、南相馬で制作活動をしていた筑波大学院生のなっちゃんがスタッフとして入りました。

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『なんでもスイッチ』では、今井さんが子どもたちと話をしながら進めていきました。前日仙台の仮設住宅で制作された作品を触り「カチ、カチ」という感触と音を面白がり「自分もつくってみたい!」という気持が沸いてきたようでした。ベースのかたちをつくったあとは、ペンを使って彩鮮やかに思ったものを描いていきました。出来上がったスイッチは、TVヒーローに変身したいスイッチや、虹がでるスイッチなど子どもらしい夢もありましたが、「サッカーができるスイッチ」など切ない願いもありました。

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『色ラボ』では何度も繰り返す子どもたちがかなりいました。自分のビンに4色のインクを垂らして変化していくことが面白く、黒い濁った色になってしまっても、「この色なにかな?」と聞いてみると「チョコレートになるジュース」「魔法がつかえるの」とか「ぼくはきらいだけどお兄ちゃんが好きなお茶色」とかそれぞれ感じたことが沸いて出てきました。窓淵にできあがった色を並べて行く際も、自分の置きたい場所をちゃんと考えていました。微妙に違う色がいくつも並んでいても自分のつくった色は把握していて、スタッフがつけた色の名前も愛おしんでいました。透明度のある色ビンの下に手をかざしてみたり、逆光だと違ってみえことを発見したり、色を見ながら新たな遊びを見つけていました。

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『この辺で顔をさがせ!』では 4歳児さんはなっちゃんお姉さんと一緒に探していましたが、5歳児さんはスタートするやいなやすぐに顔を見つけだし、カメラ担当の辻さんと本間さんはひっぱりダコ状況になりました。また撮影ショットにも「この部分はいらないよ」など、しっかりイメージをもって制作していました。キャラクターも様々。子どもたちはいろいろな想像の目で、いつもの見慣れた場所をいっぺんに楽しい空想の場へ変えていました。

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保育士さんも「楽しかった~」といってくださり、このあとからも今回のワークショップを発展させていってくださればいいなと思いました。(加藤直子)

終わった後のフィードバック。保育士さんからは、「みんなで一緒に活動できたこと、お互いにふれあうことができたことが良かった」「一時間集中できていてびっくりした」「なかなかのびのび表現できないけど、今日は良くできていた。」「それぞれの工作コーナーに楽しみがあって、どの子も楽しんでいた。」「表現に自分が出ていたのがよかった」と。福島県立博物館の金澤さんは「子ども達の反応がすべてを語っている。これが何かの種になると思う」、南相馬市の仮設でも活動しているなっちゃんは「仮設では家がなくなったとか放射能で、、、という悲惨な話をたくさん聞いた。でも子ども達はとても楽しそうでよかった」と。新井さんは「表現したい強い欲求というのは感じられたが、被災地ということで構えていたが、一人一人と向き合うと東京の子と変わらない。」今井さん「5年くらいの長いスパンで関わっていきたい」と語ってくださいました。最後に保育士さんが「これからも是非来て欲しい」とおっしゃってくださり、ぜひこの活動を続けていきたいと強く感じました。(三ツ木紀英)

助成:アモーレ・パシフィック

アーティスト:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)、今井紀彰(いまいのりあき/写真家・美術家)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈・加藤直子)
協力:福島県立博物館

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■9/10(土) 仙台市内扇町一丁目仮設住宅 集会所

10:30-11:30、13:30-14:30 「からだをほぐそう!」
講師:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)

場所:仙台市内扇町一丁目仮設住宅 集会所
参加人数:計26名(のべ) (1回目13名 2回目11名 ハンドマッサージ2名)

助成:アモーレ・パシフィック
協力:一般社団法人パーソナルサポートセンター

この仮設住宅の周りは倉庫などが多く、駅からも遠くて不便なため、200世帯ばかりある仮設のうち、7,8世帯しか入っていない状態が長く続いていたそうです。そのため支援もほとんど届いていないとのこと。9/10の時点ではそれでも随分増えて7,80世帯が入居していました。自治体はコミュニティを壊さないようにと町内会ごとに仮設に入るようにしてきましたが、町内会に入っていなかったり、事情があって一緒に入居できなかったりした方が、この仮設に集まっています。なので、お互い全く見知らぬ者同士。新たなコミュニティもできておらず、集会室にも人が集まらないので、ぜひこのワークショップをきっかけにみんなに来てもらえるようにしたいと、パーソナルサポートセンター(以下PSC)さんから伺っていました。幸運だったのは、地元仙台で活動しているNPOみやぎダンスの定行俊彰氏が急遽サポーターとして手伝ってくれたことでした。とにかく集会室にきてもらおうと、ワークショップの直前には新井氏と定行氏は見守りスタッフと一緒に、現地住宅内を声かけにいき、ARDAスタッフはハンドマッサージのサービスを用意しました。

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10:30近くになると、一人二人と人が集まってきました。血圧を測りに来た方にも、声をかけると参加してくださいました。PSCのスタッフ方々も一緒にはいり、総勢16,7名。就学前のお子さんから上は86歳のおじいさんまで参加してくださいました。新井さんの人柄も手伝って、はじめから冗談が飛び交い、始終和やかで笑いの絶えないワークショップとなりました。輪になって座り、お互いの背中さすったり、たたいたりしながら、お互いの距離が近くなっていきます。場が暖まると、シルクの腰帯を使って2人1組の踊りもはじまりました。冷房の入った部屋でしたが、みなさんしっとりと汗をかくくらい身体を動かしました。終わった後はみなさんの距離もぐっと縮まったように感じました。「いい運動になってよかった。仮設にいるともういつ運動したかわからないくらいだしね。」「楽しかったね~。」という感想も。
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そして、午後の回。13時になると、午前も参加してくださった女性がまた来てくださいました。「私は人に誘われないとこういうところには来ないんです。でも午前中がなんだかとっても楽しかったから、(自分から)また来たの。」人が集まるまでの間、ハンドマッサージをしながらお話をしました。「ここに来るまでは、本当に悲しくて、部屋で毎日泣いてばかりいてね。でも、仮設に来て本当によかったわ。見守りの人が毎日励ましてくれてね。」と、お話してくれました。

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午後の回も暖かく優しい時間が流れました。終わった後にスタッフでフィードバック・タイム。「みなさん本当に楽しそうだった」「思った以上にみなさんの反応がよかった」「初めて集会室に来てくれた人もいた」という感想がでました。新井さんも「みなさんが場を支えてくださるような暖かさがあった。一人一人がお互いに思いやって、つながろうという気持ちを感じた。こういった活動を続けるときっといいコミュニティができると思う」と。特別にサポートに来てくださった定行さんは、「そんなに頻繁にはこれないが、時間が許す限り、ここに来て、ワークショップを引き継いでいきたいと思う。」と申し出てくださいました。
私個人としては、東北の方々の暖かさと優しさと強さをここでも強く感じました。過酷な経験と生活の中、隣の人や私たちに対しても常に暖かい言葉をかけ、笑わせようする心遣いにこちらの方が癒されてしまったようでした。この東北の人たちの心の暖かさと優しさも伝えていきたいと強く思いました。(三ツ木紀英)

助成:アモーレ・パシフィック

アーティスト:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈)
協力:一般社団法人パーソナルサポートセンター