NPO法人ARDA
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震災復興支援WS「カメラを持ってちいさな旅にでよう」2017/1/30・31

アートワークショップ 2017年05月31日

2011年から継続的に訪問している南相馬市の保育園、幼稚園があります。歴代の園長先生のご厚意で続いた関係に感謝しています。私は福島へは、震災後行くようになりました。震災と原発事故後の困難を見る一方で、今でも都市に比べ豊かな自然が残るなかで、福島の子どもがもつ自由さや表現の豊かさに出会うことができました。
今回一緒に活動するのは写真家・アーティストの今井紀彰さん。写真が好きな先生のご縁で、ワークショップを続けています。
自分の視界って、意識してみると気になるものしか見ていなかったり、あるいはぼんやりみていることがあったりカメラのようにいろんな見方をしています。今井さんから目の使い方のコツと、カメラの使い方を聞いた子どもたち。子どもにとって、はじめての一人でカメラを持つ体験ですが、しっかりとカメラを持って自分の目で意識的に見始めたことがわかります。いつも気になっていたところ、ふと目についたところ、大好きな人やものをいろんな距離から撮っていきます 。(カメラはキヤノン株式会社のご協力によりお貸しいただいています
いつも過ごしている園や園のまわりをカメラを持って歩くと、「これ大好きな遊具!」「◯◯ちゃん撮りたい!」と大好きなものがたくさんあること、カメラを持った効果で面白くみえるもの、あるいはあとから聞いたことですが「この木が面白いと思ってた」とか、普段からいろんなものが面白くみえていることがわかります。

仲の良い友だちと一緒に撮りながら一枚。

いつも少し客観的にまわりを見ているという男の子は、友だちが写真を撮っているところを撮ったり、人気者のぬいぐるみを撮っていました。みんなで最後に写真を見ながら、この写真が現れたときには喚声が湧きました。

違う園での一枚。雪が降って銀世界となった園庭で特別な撮影ができました。

これは何を撮った写真でしょうか?
写真を撮った後に、何を撮ったのか、気になったところなどを聞いていくことで、その子の視点や気持ちを共有してもらいます。

(これは雲が犬の形に見えたそうです。)

写真は造形表現などが苦手な子でも、シャッターを切ることで自分の撮りたいもの、偶然写り込んだものが表れます。その子の対象の選び方、アプローチの仕方、みんなで撮ったものについてしゃべり、一緒に活動した先生とふりかえることで、関わった人たちそれぞれが写真に込められたその子の過ごした時間や思いを感じていました。

震災から数年は避難所や仮設住宅、放射能の影響で制限された生活環境のなかで、精神的・身体的ストレスが顕著な問題となりました。ARDAは室内でもダイナミックに、熱中して、あるいはゆったりと和やかに楽しむ事のできる様々なワークショップを行ってきました。大人も困難を感じ、制限を抱えるそのような環境で、子どもたちには発達の遅れと見えることがありました。今も少なくない方々が癒えない傷や、課題を抱えています。
私たちは同じ社会に住む者として、どのように知り、関わっていくべきでしょうか。ARDAが継続してくることができた、子どもとのワークショップを通じて福島・南相馬のことをお伝えできればと思います。そして、変わっていく町(私たちの社会)のなかで、ともに生きる表現を探していきたいと思います。(滝)

アーティスト・今井紀彰 WEBSITE
すでに滅び世界各地で語り継がれる動物たちをモチーフにした、写真による巨大なコラージュ作品のほか、さまざまな造形作品を制作。土地の力を感じることや、コミュニケーションをテーマに写真を使ったワークショップや複数のワークショップを同時にひとつの会場で開催する「芸術大サーカス」などの活動をしている。