NPO法人ARDA
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オンラインでのアートデリバリー!アートミーツ・ケア学会2020

アートワークショップ 2020年12月22日

オンラインでのアートデリバリーを実施、アートミーツ・ケア学会2020にて発表!
*フリンジ企画 日時:11月11日(水)19:00-21:00
「初めてのオンライン・アートワークショップ、高齢者に向けて~遠隔から体奏家・新井英夫さんとからだをほぐす~」
*大会 withコロナトーク 日時:11月21日10:40-12:10

 毎年、全国規模で開催されているアートミーツケア学会の本年度のテーマは「ミーツ・コロナ」九州大学共催、オンラインのみで開催されました。今まで想像もしなかったお題目、新型コロナウィルスで私たちの日常はどのような変化、発見や気づきがあったかを共有し、新時代へのアートとケアについて考える機会にしようという大会でした。

 大会に先駆けて会員によるフリンジ企画に、高齢者に向けてオンラインによるアートワークショップへ挑戦しました。しばらくできないでいた「高齢者施設へアートデリバリー」はコロナ禍でさらに活動の見通しがつかないと沈んでいた時、学会からの募集を見てやってみようと決心。この機会にオンラインでアーティストのワークショップで楽しい時間を届けられたら新しい光になるのではと思ったのです。

 実現させるには、高齢者から生き生きとした反応を引き出せる魅力的なアーティストと熱意のある受け入れ施設が必要です。
アーティストは活動の初期よりワークショップを共に実践してきた新井英夫さん(助手:板坂代記子さん)に依頼、施設は杉並区西荻窪で様々な外部人材を受け入れて、人間的な介護を目指している桃三ふれあいの家の協力を得ることができました。
オンラインでのワークショップは全くの未経験、まずはアーティスト、施設の方々とARDAスタッフでZOOM会議(9/16)を開き、浮かび上がった問題を解決しながらワークショップを進める計画を立てました。

「通所の参加者は80代〜90代なのでいきなりリモートでは無理、まずは顔見知りになって欲しい。」との施設側の要望を受け「朝の会」でご挨拶。
(10/16)トレードマークの真っ赤ないでたちの新井さんの太鼓や笛でのパフォーマンスに強く印象づけられ、ワークショップへの期待が高まりました。

1回目のワークショップ(10/23)は対面とリモートを各15分の構成で開催。
リズムに乗りながら体をほぐしていく対面のワークショップ後、新井さんはみなさんが住み慣れた西荻の住宅街や商店街を散歩。
途中、コロッケを買ったりする様子を、実況中継のようにポケットWi-Fiで送信。
それを見ている桃三ふれあいの家の参加者は、映像がクリアでなかったこともあって、どこを見て良いのか分からなかった様子。
ところが、小雨の中、赤い傘をさして踊り出す姿を画面で見ると全員が拍手で沸いたのです。また、同時に「雨に歌えば」のことが話題になっていたのが印象的でした。


 次は本番とも言えるオンラインのみのワークショップです。
桃三会場の正面にスクリーンを設置、遠隔から新井さんの姿を投映し、桃三会場の全体を写し新井さんへ送信するパソコンと、個々の言葉や表情を捉えて送るパソコン等、3台を使用。
頭でイメージするのと違ってWi-Fiを有線でジョイントしたり、準備の時はうまく行ったのに本番で大画面が映らなくなった予期せぬ出来事もあり操作の難しさを感じました。

しかし、参加された高齢者の一人一人の個性をオンラインの画面を通してキャチボールでき、たくさんの笑顔が見られました。
新井さんのアイディアの一つで同じアイテムを使って双方向で遊ぶー
扇子を使って「風を送ってください」と新井さんが言うと、桃三のKさんが画面を通して扇子で風送るー
そしてYさんは扇子を持って踊り出す。
 カメラのレンズのトリックを使って手と手を合わせてタッチ、頭をなでるなどスキンシップができたり、コロナ禍で禁じられている蜜が可能となったのは面白いことでした。

新井さんの人間力と本番前の交流が安心と信頼を産んだことが実感できました。
ワークショップ後のフィードバックで施設側よりYさんがあのように弾けた姿は初めて見たとの発言に「これを介護に活かせますか?」と聞きましたら「活かせます」とのお返事に、私はオンラインでも高齢者へのアートワークショップの目的を果たすことができると確信を得ました。
誰にでも潜在する表現したい心を引き出すアートの力を生きる活力にすることを目的にしたARDA活動の意義を再認識でき、嬉しく思いました。


 フリンジ企画に参加された方々にも好評で、大会初日(11/21)withコロナトークに招待されました。
ゲストの伊藤亜紗さんと、お便りコーナーのように寄せられた体験を話し合うセクションで、写真数枚を使いながらフレンジ企画について話しました。
今回、新井さんのワークショップで体験した中で、伊藤さんのトークで共通する感覚の一致が見られ興味深く思いました。
「ケアはアナーキー。人をケアする仕事は実は、全方向でクリエイティブでそれでしか得られないすごくいい瞬間がある」と言われた言葉が印象的でした。私も初めての高齢者ワークショップ「いきる・アート・ともに」(1999)から感じていたことでした。

また、すき間を作ることにも触れられていました。今回の企画は私にとっては隙間だらけで、新井さんや桃三ふれあいの家、そしてスタッフの多大な努力で隙間を埋めていただきました。今までにない新たな出発になりました。

 今後、 コロナが終息しても対面と同等にオンラインでのアートワークショップの可能性を感じ,次への第一歩となりました。

並河 恵美子