NPO法人ARDA
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美術×美酒 ~アートを肴に呑む~ (2016年2月25日開催)

対話で美術鑑賞 2016年03月23日

“アート”と“美味しい飲み物”と。どちらもみんなで対話しながら、ゆったりじっくり五感で楽しんだら面白そう!という好奇心から生まれた「アート×飲み物」シリーズ。
1月のアート×ワインに続く第二弾は、アート×日本酒の組み合わせにて、RICOH Future Houseさんで開催しました。
ここは、ソファや観葉植物が置かれた開放的な多目的スペースの居心地の良さはもとより、キッチンのある部屋まで併設されているので、今回のような飲み物や食べ物を効かせた催しに打ってつけです。今回は、絵画の鑑賞パートをおじゃさん、きき酒パートを私(みっちゃん:きき酒師資格を持つ)が受け持ち、ファシリテートしました。

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13名の方々に参加いただきました。アートに興味がある方もそれほどでもない方も、日本酒をよく飲む方も滅多に飲まない方も、まぜこぜでテーブルに着き、乾杯の掛け声とともにスタートしました。さっそく、いくつかの異なる日本酒を味わい、一番好きな日本酒のイメージに合ったアートカードを選んで「なぜそれを選んだか?」を自己紹介とともに話してもらいました。その後、きき酒ミニ講座とアート観賞講座を通じて、五感をたっぷりつかって味わうポイントを共有しました。最後に、ミニ講座の学びを活かしていくつかの日本酒をきき酒し、それぞれのイメージに合うアートカードを選び取り、お酒の香りや味わいを、アートカードを媒介にしながら表現し合いました。

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参加者の皆さんを見ている中で、印象深いことが三つありました。

一つ目は、クリムトの『接吻』という作品を鑑賞したときです。
描かれた二人が今どんな状態なのか、二人の関係性についてどんなことが示唆されるのかということについて、参加者の皆さんが、実によく人物の表情や立っている場所などの細かな観察結果を根拠に話してくれました。「理由はよく分からないけれど何となく感じる」という状態のままにせず、なぜそのように感じるのかを考えることは、人によっては難しく感じてしまうことがあると思いますが、今回は、お酒のリラックス効果と対話の力を手掛かりにしながら、皆さんが楽しんでいる様子が窺えました。

二つ目は、日本酒を味わっている時のことです。
敢えてお酒のボトルをアルミホイルで覆い、銘柄などの情報をわからない状態で行ったことで、参加者の皆さんは、価格や名前の印象に引っ張られず、自分の五感を頼りに、時間をかけて味わっていました。「普段は、一杯をこんなに時間をかけて味わうことはないので新鮮!」という感想が聞かれました。
さらに、お酒の印象をアートカードで表現したことで、他の人との感じ方の共通点や異なる点が可視化され、さらに対話を盛り上げていました。この手法は、一般的なアート作品に限らず、お酒のような嗜好品と人とのより深い出会いにも効果があるように感じます。

三つ目は、会の半ばの時間帯くらいから、進行役が促さなくても、良い意味で勝手に参加者同士が語り合うということがあちこちで起こったということです。
“同じ釜の飯”ならぬ、同じお酒を楽しむことの効果なのかもしれません。
この他にも、準備した日本酒の一つが、ご当地、海老名の造り酒屋のものだったことが大変喜ばれたり、おつまみとして用意したおはぎと日本酒との好相性に唸ってくれたりと、盛り上がった二時間でした。

「アート×飲み物」シリーズ、今までにない私たちならではの企画として、今後も続けていきたいと思います。(みっちゃん)