NPO法人ARDA
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アート+認知症 「やさしい美術鑑賞」の報告書が公開されています

対話で美術鑑賞 2025年06月10日

ARDAでは2022年度から2024年度にかけて、横浜市民ギャラリーあざみ野で取り組まれた、認知症当事者とその家族のための「やさしい美術鑑賞」プロジェクトにARDAもお手伝いしていました。

あざみ野というと横浜市青葉区の緑が多く落ち着いた閑静な住宅街で、住みやすい街というイメージがありますよね。実際、男性の平均寿命が全国トップになったこともあるほどの長生きの街なのです。あざみ野では、長生きなだけでなく健康寿命を伸ばそうと、2021年から商店街をはじめにした地域住民によって、認知症の人にやさしい街プロジェクトがはじまりました。横浜市民ギャラリーあざみ野も地域の文化拠点として、認知症の方もアートを楽しめるようにと「アート+認知症 やさしい美術鑑賞」を立ち上がげました。ARDAは、エデュケーターと市民のサポーターにむけた講座と鑑賞プログラムの監修を担いました。

やさしい美術鑑賞プロジェクトが優れているのは、地域の認知症に対する草の根的な動きに積極的に関与し、福祉や医療機関と連携しつつ、市民をサポーターとして活動に開いてきたことです。 認知症の方が決められた時間にギャラリーにやってくるには、身体的な面だけでなく、心理的な面でもハードルがあります。閉じこもりがちな方にも、施設職員の方がくり返し声がけしたことで、参加できた方もいます。施設職員の方の熱意と行動がなければ実現しませんでした。
1年目の日常と生をテーマに糸と布で綴った作品の展覧会では、最初は初めての場所で緊張して強張っていたのに、展示室にはいった瞬間に「わー」と声をあげ、笑顔になる場面がありました。環境変化への適応が難しいかたが、大きな布のインスタレーションに心のバリアがあっという間に溶けた様子に施設スタッフの方も驚いた様子でした。

2年目は企画展がなく、複製と仮設展示で実施することになったのですが、たくさんの市民サポーターの人たちが参加してくれたことで、最初から賑やかで和やかな場となりました。市民サポーターなくして、プログラム運営は難しかったでしょう。終わった後もいつまでもおしゃべりがやまず、出会った人同士で記念撮影をしたり、名残惜しそうにしている様子はとても印象的でした。認知症の家族がいる市民サポーターも少なくなく、地域でこういった場があることに希望を感じるという声も多く聞かれました。
他の美術館に広がりますように!

報告書がこちらにまとめられています。 高齢者の対話鑑賞について、代表三ツ木がテキストを寄稿していますので、ご高覧ください。 「やさしい美術鑑賞-易しさと優しさ。その先にあるもの」P28 >https://artazamino.jp/wp-content/uploads/2025/04/art_and_dementia_program_report.pdf

報告書のARDAが担当したファシリテーター養成研修会のページ

「やさしい美術館賞会」サポーター養成研修のページ