NPO法人ARDA
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28年度港区ふれあいアート 伊藤キムさん『からだで遊ぼう』

アートワークショップ 2017年04月16日

港区の保育園でコンテンポラリーダンサー・振付家の伊藤キムさんとアシスタントの北川ななみさんによる『からだで遊ぼう』ワークショップを3回にわたり行いました。参加したのは元気いっぱいの10名の5歳児さん。

園との事前打ち合わせで子どもたちの様子や会場を見ながら先生方と丁寧に内容を練ってくださった伊藤キムさん。1回目、キムさんと一緒にからだも声もダイナミックに使い、のびのびと開放されていく子ども達。後半、自由に動く活動に展開すると、最初は戸惑う様子もありましたが、大人から何かを提示するのではなく、時間を丁寧にかけることで、次第に子どもたちが自分の感性で動きはじめ、自身のアイディアや主張が見えるようになり、子どもたちの顔から嬉しさや誇らしさが垣間見えました。ワークショップ後にキムさんが「子ども達が困りながらも自分で見つける時間をつくることが必要」と言っていたことの大切さを感じました。

2回目はいつも遊んでいる公園に踊りにいきました!外にでていく子どもたちの顔にはドキドキやワクワク、様々な感情があふれていました。最初は恥ずかしがっていた子も、最後にキムさんが「どうだった?」ときくと、「恥ずかしかったけど、楽しかった!!」という声がかえってきました。

3回目では、言葉のイメージから自由に動く内容にチャレンジ。種や風にふかれる植物になって動く場面では、普段園で行っているリトミックのイメージもあってか、最初はみんなが同じような形になっていました。そこで、キムさんが実際にやって見せると、、、

 

 

 

 

 

 

(左写真:キムさんの植物をみる子どもたち 右写真:植物になってそれぞれに動くこどもたち)

子どもたちのすぐ近くで見ていた先生は、『見ているときに子どもたちから「すごい」「こわい」など、心の声がもれていた。』「アーティストの本物の表現に触れることの子ども達への影響の大きさを感じた。」とその時のことを話してくださいました。キムさんの動きに触発された子ども達からは、次にやるときには様々な表現が生まれ、その変化に驚きました。

今回のワークショップでは回を重ねるなかで、子どもたちとアーティストの関係が深まり、子どもたちの様々な内側からの感情が引き出されていたことがとても印象に残りました。

2回目のワークショップでは、先生からも「感情の波がいつも以上に激しい1時間だったと思う。」とコメントがあったほど、喜怒哀楽、子どもたちから様々なエネルギーがわきあがり、終わった後はまるで嵐がすぎさったような感覚になりました。キムさんが「アーティストは日常を揺さぶる存在」と表現したように、子ども達も先生も普段とは何か違う時間のなかで、様々な感情やエネルギーがぶつかった体験になったようです。全日程終了後に3回を振り返り、『2回目でわぁーとなった自分達の気持ちや様子も受け止めてもらえたという嬉しさが、キムさん、ななみさんへの信頼につながっていたと思う。信頼関係がうまれたことで、子ども達の「やってみよう」という気持ちにつながっていた。』と先生のコメントがありました。

アーティストの表現に触れ、普段とは違う時間をともに過ごす中で、キムさんが子ども達に語りかけていた「自分で遊びをみつけること」、「恥ずかしいことも勇気をもっておこなう先に楽しさがある」ことなど、子どもたちのからだとこころに残る体験になったことと思います。素敵なワークショップをしてくださった伊藤キムさん、北川ななみさん、サポートくださった先生方、参加した子どもたち、ありがとうございました!(文・写真/上本)

 

アーティスト・伊藤キム 舞踏家・古川あんずに師事。95年「伊藤キム+輝く未来」を結成。96年バニョレ国際振付賞。13年京都・本能寺創建600年の記念イベント『本能寺のD』で演出・振付・出演、国内外をツアー。他にも現役中高生との作品制作、おやじが踊って給仕する「おやじカフェ」のプロデュースを国内外で行う。京都造形芸術大学客員教授。2015年、新カンパニーGEROを結成して10年ぶりに創作活動を再開。http://kimitoh.com/