NPO法人ARDA
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高齢者アートワークショップ「アートボランティア養成講座」1

アートワークショップ 2018年09月21日

高齢者アートワークショップ「アートボランティア養成講座」
アートの力をケアに活かした共生社会づくり
2018年8月24日金10:00-12:00 会場:浴風会本館2階
講座配布資料PDF


 台風20号の影響で朝はかなりの大雨で心配したが、講座開始頃には小降りとなっていた。参加者は申込者20名と招待者4名で開始。15歳から82歳までの年齢層の広さは高齢者対象ならではだ。(20〜30はゼロ)


 会場となる浴風会本館は関東大震災で身寄りを失った高齢者の生活の場所として築かれた老人ホーム、内田祥三氏の建築による歴史的な建物はCMや映画のロケ地としてお目見えする。レトロな雰囲気、広大な緑豊かな敷地に病院をはじめ総合的に高齢者施設が点在している。その中の4施設で講座/造形/音楽/ダンスのワークッショップを行なう。各ワークショップに受講生と入所者が一緒に参加して体験、その後入所者へのボランティアを実践する2回をセット。このことを通して「福祉におけるアートの可能性、共生社会づくり」を考えようという企画だ。
 ARDA工藤ひろこの司会で講座全体の進行説明。特に後半では受講生たちをワークショップの希望ジャンルにグループ分けをして、各ジャンルのコーディネーターが説明することを伝え一部は浴風会の関係者の講義、二部はARDAが受け持った。


一部:「アートはケアの一つ、健康のバロメーター」浴風会病院事務局長/君島淳二氏は「私の知る限り浴風会でアートの講座は初めて」との前置から始まり、健康とはどのようなことかについて話された。肉体的にも精神的にも社会の中で生きて行くためにも「いきいき」としていることで、「生涯現役」「健康寿命」「地域共生社会」の実現にも健康でなくてはならない。福祉/医療/介護は人々の健康を支えるシステムでそれ以外も含めての総称が「ケア」である。健康で大切なことは心の充実感で、アートはケアの一端を担う。ケアの目的は尊厳を守ること、その人らしさを認めることでアートはその力になると信じていると言う。


「高齢者の特性理解とケアについて」浴風会ケアスクール校長 服部安子氏
は、
加齢による心身機能の衰えによる老年症候群について、過度の安静による不活発な生活を続けると、筋力低下/関節の硬縮/心配機能の低下/認知症などの「廃用性症候群」になる。それを予防するには運動機能、精神機能、社会活動が必要。介護が必要になった人へのケアでは①適切な栄養②運動週間③知的活動で、なによりも大切な事は自由な自己実現と自らを輝かせる自己表現であること。お二人のお話からケアの目的は尊厳を守ることでアートがその大きな役割を持っていることが強調され、私達の活動主旨と一致していることに力を頂いた。


二部:「高齢者へのアートワークショップについて」並河恵美子
なぜ、高齢者施設へアートを届けるのかについては、藤原ゆみこ氏の表現とは何かを考える:(配布資料参照)の中で、「それは、すべての年齢の方々に等しく与えられた本能であり、一握りの芸術家にだけ許された特権ではない。生きるための必須である。」という言葉を共有している活動であること。それはどんなことかを初めに記録映像で見て頂く。活動目的とそれによって参加された高齢者、 アーティスト、介護職員達にどのような変化、発見が見られたかを中心に話す。アーティストが向き合うことで高齢者の日常では見られない、その人らしい独自性と根源性が表現された時、その場に関わった人達と感性の交換を感じる経験が多々ある。介護する人、される人を超えて同じ人間だと思える一瞬。エンパワーされたこの感覚は高齢者アートのみに感じられることで不思議だ。

アートボランティアの役割」近田明奈
ARDAのワークショップの特色は即興性にあり、自由度が高く、無意識や偶然性による表現も多く、みな同じではない。その時、その人だけの表現を認めあえる実験と肯定の場であることを話し、本題に入る。「アートボランティア」とは、アーティストのワークショップを理解して、進行を手助けする縁の下の力持ちの役割。参加者が自然にリラックスできる雰囲気や気持ちをもりたてるように促す。慣れない活動にとまどいをみせたり、耳や目が不自由な方や認知症の方への声かけ、参加者に寄り添ってサポートすること。そして一緒にたのしむこと。アートボランティアをしていると参加者を通して自分自身を肯定することが出来て元気が湧いてくる。表現すること、認められることは大きな喜びで、この活動を通して周りの人や自分自身をもっと元気にしてくださいとエールを送る。

 その後、班分けをして話し合い終了。いよいよ来週から1ワークショップにつき体験と実践のセット講座が始まる。
講座配布資料 PDF