NPO法人ARDA
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高齢社会における文化芸術の可能性~英国から日本視察ツアー

アートワークショップ 2015年05月23日

「高齢者とアート」に関するセミナーに呼ばれました
報告②:「高齢社会における文化芸術の可能性~英国から日本視察ツアー」
    Arts for Ageing Society:Japan Study Tour 
主催:ブリティシュ・カウンシル 4月13日~4月17日

 「高齢化とアート」をテーマに英国から視察団が来るので会って欲しいと、ブリティシュ・カウンシルからお話を聴いのは3月25日。ア-トコミュニティ活動の先駆的な英国からら日本に? 世界でも一番高齢化率の高い日本で芸術面でなにが起こっているのかを見聞したいと? オリンピックを視野に入れての交流を~という意味が込められていると思うが、短期間で活動関係者との日程調整や対話フォーラなど怒濤の勢いでプランを進行されたブリティシュ・カウンシルの関係者の皆様にお礼を申し上げたい。
 私は4月13日に世田谷文化生活情報センター、キャロット・タワーで発表。他に3人の方が順次それぞれの活動について話した。前日に来日された英国全土から高齢者に関わっている14の文化芸術機関の視察団メンバーの方たちが出席された。
今回も映像を流しながら活動主旨や造形、身体表現、音楽による各アーティストのワークショップでお年寄りの変化、介護者の気付き、アーティスト自身の想い等を伝えた。
 「老いと演劇」OiBOKKeShi オイ・ボッケ・シを主宰されている菅原直樹氏は、介護福祉士で平田オリザの劇団青年座の俳優でもある。老いと演劇をテーマに太古から築きあげられた芸術活動によって「老い」「ボケ」「死」の明るい未来をあぶり出し地域社会の活性化を目指すという。勤務している岡山市の施設では認知症のおばあさんが、いつも、彼のことを時計屋さんと呼ぶので、時計屋さんになって会話をすると、色々な話が出てきて劇になった。お年寄りの存在感は演劇になると思った。市内で実際に認知症の妻と暮らす岡田さんの日常生活を元に「よみちにひはくれない」というタイトルの芝居を、駅前商店街で上演した。20年振りに帰省した人が老人と会うと、自分の妻が徘徊して見つからないと言う。そこで一緒に観客共々ゾロゾロ歩きながら探す。疑似体験となると共に観客は妻を捜す岡田さんの現実と芝居の間を交差しながら観る面白さがあったと言う。老いと演劇のワークショップでは、老いと遊び、ボケと演技をテーマに脈絡の無い言葉やボケを受け入れ、今、この瞬間をここにいる人と楽しむ、ユーモアがある。
 世田谷パブリックウシアターの演劇部・学芸員の恵志美奈子氏は、創造する公共劇場の活動についてレクチャーされた。地域振興をめざす劇場では、コミユニティプログラムとして施設向けと学校対象のプログラムがある。学校へは授業に活用しませんかと発信している。施設へは介助ユニオンへあなたの現場で活用しませんかと問い合わせをして介助者、介護者と対等な関係で一緒にプログラムを考えている。
専門家育成では、演劇を作り発表する。その一例は脳性マヒの人をよんで散歩。共通体験をグループで深め、外部の人へ伝えたいのはなにかを考え脚本を作って劇場で上演。また、介助と介護をテーマに公募して地域より約20人が出演した「ある家族の話」は妹が統合失調症になったことをめぐる家族のことを「地域の物語」として台本を作り、2015年4月1日に上演した。また、6年前より芝居を持って行く@HOME公演を高齢者施設で行っている。年に2回、35分ぐらいの芝居を作って通所施設や特養を訪問。職員さんも芝居に入って頂く。劇場に来られない人へ届けるこの活動は区の補助金で行っている。さすが、世田谷区文化政策の一貫性が年を重ねながら地域に根ざした創造性へと発展していると思った。
 筑波大学・ダイバーシティ推進室の河野禎之氏(臨床心理士)は、平成23年度日本老年精神医学会奨励賞を受賞された若き研究者。認知症の人たちに介入したことの成果について、介入前と後でどのような変化があったか?またはなかったか?を見えるように指標にすることが大切である。今迄は薬によるアプローチが見られたが、本人のQOLへどのくらい変化を与えたかが求められるべきだ。アートは生活の質をあげることに役立つので、その変化を見える化しなくてはならない。測定は困難なので計れるように調べて活用できるものを見つけて作成する。_というようなお話で一部は図表の解説もあった。
 会場からの質疑応答のなかでも活動者と研究者のコラボについて日本の現状を質問され、河野さんは「今日、はじめてアートで活動している人に会いました」。私も「今まで成果をだすことは必要だと痛感していましたが、唾液で使用前、使用後のようなやり方は受け入れられなかった。今日初めてアートで評価できるという方に会えてよかった」と、日本での横のつながりが持てるチャンスとなった。
 「フューチャー・セション:高齢社会における文化芸術の可能性」4月16日/国立新美術館  来日された団体から5分間のスピーチ後に参加者全員、約100名が参加するワークショップが開催された。今日の気づきとして「文化芸術が高齢者社会にできること」を紙に書いて同じ内容の文言でグループを作り、英国からのメンバーが加わって話し合う。そしてグループ代表が壇上に上がって発表。最後には全員が輪になってそのための第一歩となる言葉を英語で発声する。私は「LOVE ART!」と叫んだ。

 この3つのイベントが異なったところからのアプローチだったことで、今迄とは違う感触を得た。高齢者への活動は私個人の発想から無我夢中で突進したところがある。今後はもっと冷静に社会が求めているところを見て、活動すべきだと思った。そして、今までの経験を活かし次世代へ繋げて行くことが私の責任だと感じている。日本での高齢者とアートに関する個々の活動は、それぞれ素晴らしいと思うが点でしかなく面としての繋がりが無い。その点、英国の文化支援は組織的に様々な分野をリンクして基盤ができている。高齢者に関しては上手くいっていない面もあると耳にしたが、既に社会的基盤があるのでサポートの層が厚い。高齢者に対しても選択肢が多いので、自分の好きなことを活かしてQOLを上げられる。
 山のような難題を感じつつ、一歩前進するエネルギーを得ることができた。
 今回の英国視察団は私の報告以外に様々な分野の方々と会談された。その全貌は日英両サイドでまとめの報告書を制作されているので、後日、お知らせしたい。
 
 英国の団体のプロフィールや活動内容をまとめた冊子は、以下にUPされています。
http://www.britishcouncil.jp/sites/britishcouncil.jp/files/aaas_pdfa4.pdf

Play HouseのNicky Taylorさんが日本訪問の報告記事を記載されています。
http://www.ageofcreativity.co.uk/items/961 
藤原ゆみこさん掲載BLOG